議会ノート6月議会 意見書を採択
福島第一原子力発電所の事故による汚染水の陸上保管を求める意見書を賛成多数で採択しました。
意見書案第3号
福島第一原子力発電所事故による汚染水の陸上保管を求める意見書
2021 年4月 13 日、政府は東京電力が福島第一原子力発電所敷地内にあるタンクに保管 しているALPS(多核種除去設備)処理汚染水を、2年後を目途に海洋放出処分とする ことを決定した。
当初、タンクに保管する処理汚染水は、ALPS等で除去できないトリチウムだけが残 るとされていた。しかし 2018 年9月 28 日、東京電力と経済産業省はトリチウム以外にセ シウム 134、セシウム 137、ストロンチウム 90、ヨウ素 129 など 30 近い放射性物質が残留しており、その約8割が環境放出可能な基準値を超えていたことを明らかにした。また政府は、トリチウム水の分子構造は水とほとんど変わらないため人体に重大な影響はないと 説明するが、体内に取り込まれたトリチウムが有機結合型トリチウムに変化することで長 期に体内にとどまり、遺伝子変異や内部被ばくを引き起こすリスクは無視できない。 たとえ排出基準以下に薄めても長期に放出し続ければ海藻や魚を汚染し、海底の泥にたまり最終的に地球全体を汚染することになる。日本も批准している国連海洋法条約第 235 条では、「いずれの国も、海洋環境の保護及び保全に関する自国の国際的義務を履行する ものとし、国際法に基づいて責任を負う」ことが定められており、国際的にも日本のこのような無責任は許されない。
政府によれば、処理汚染水に含まれる放射性物質トリチウムを国の放出基準の 40 分の 1(1リットル当たり 1,500 ベクレル)を下回るように薄めるとのことだが、保管されて いる処理汚染水を処理するには、事故前の福島第一原発の管理基準で放出しても 30 年以 上かかる見通しである。実際は放出管理基準の 10 分の1程度しか排出していなかったため、それを考慮すればさらに長期化すると予想される。政府はこれ以上汚染水が増え続 け、タンクを増設する敷地が足りなくなることを海洋放出の理由としているが、実行可能 な技術的代替策として、堅牢な大型タンクによる保管継続やモルタル固化処分などがNG Oや専門家から提案されている。政府はこれらの代替え案を検討する際に、海洋放出を 91か月かけて行うという非現実的な想定をしており、30 年以上かかる海洋放出終了までの漏 洩リスクを無視している。また堅牢な大型タンクでの保管については、選択肢として挙げていないのは不誠実である。そもそも技術的にも費用的にも見通しが立っていないデブリ の取り出しや 40 年間の廃炉計画を前提に敷地を確保しようとして、海洋放出を決定して いるのは大きな間違いである。
そもそも政府は 2015 年1月、処理汚染水の海洋放出について、「関係者の理解なしに、 いかなる処分も行わない」と約束した。ALPS小委員会の報告書提出前後に行われた公聴会でも、地元漁業関係者は強く反対し、福島県内の 40 市町村から反対の決議文が提出された。さらに全漁連、福島県漁連の会長は、今回の海洋放出を決定する直前の菅首相との面談において反対を表明している。こうした一連の約束や意思表明が無視されるとともに、原発事故から 10 年もの間、地元漁業の復興・再開に向けて懸命に重ねてきた努力を 無に帰すような今回の決定は、まさに関係者にとっては死活問題にかかわる重要な決定で あり、現在も断固反対の姿勢を変えていない。政府は約束を守るべきである。
太平洋に面し、海水浴場発祥の地である大磯町は、漁業や釣り、マリンスポーツなど多 くの海の恵みを享受しており、町の重要な資源であるきれいな海を次世代に引き継ぐ責任 が我々にはある。
よって政府に対し以下の4点を強く求める。
1. 福島第一原子力発電所の事故によるALPS(多核種除去設備)処理汚染水の海洋 放出決定を取り消し、長期陸上保管すること。
2. トリチウムを含む放射性核種の分離・回収技術を開発すること。
3. デブリの空冷化を早期に実現し、事故炉を「外構シールド」で覆い放射能の拡散を 防ぐ「長期遮蔽管理」に移行すること。
4. 漁業関係者の声を重く受け止め、処理汚染水に含まれる放射性物質の総量を示し、 開かれた場で検討や議論を行うこと。以上、地方自治法第
以上、99条の規定により意見書を提出する。 令和3年6月16日
衆 議 院 議 長 大 島 理 森 殿
参 議 院 議 長 山 東 昭 子 殿
内 閣 総 理 大 臣 菅 義 偉 殿
農 林 水 産 大 臣 野 上 浩太郎 殿
経 済 産 業 大 臣 梶 山 弘 志 殿
環 境 大 臣 小 泉 進次郎 殿
復 興 大 臣 平 沢 勝 栄 殿
神奈川県中郡大磯町議会議長 髙 橋 英 俊
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